Meltdown2005 /* US-UK FOLK CONNECTION */ 〜カリズマ爺さんへの道〜

お話し手&お写真撮影・提供 : ミユキ・カトー・ウィリアムズ
お伺い手&テキスト : MAKIO

パティ・スミスがキュレーターを勤めたメルトダウン2005。そのイベントのひとつ、ジョニー・マー&ザ・(ニュー)ヒーラーズが出演したUS/UK Folk Connection(Jun.24)を観覧に行かれたミユキさんにお話を伺いました。”ロイヤル・フェスティバル・ホ−ルで多分一番いい席だった”とおっしゃる、前から3列目ジョニーのまん前から彼女自身が撮影したお写真(デジカメに拠らず)と共にどうぞ。

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Wythenshawe Syndrome/MAKIO (以下WS):ミユキさん、お帰りなさい。まずはお疲れ様でした。
ミユキさん(以下M):キャセイのFLTがキャンセルになったり、サンダー・ストームで機内が揺れっぱなしだったり、疲れましたがショウは素晴らしかったです。
WS:会場の様子はいかがでしたか?
M:満席でした。RFHは今、建物自体が改装中で古く、いかにも朽ちてゆく感じが独特の雰囲気を醸していました。催しもこのメルトダウンが最後らしく、大変盛り上がりました。
WS:ショウの進められ方はどういうものだったのでしょうか。
M:まずこのサロペットのお爺さんとレニー・ケイが一番手。二番目にバート(・ヤンシュ)を呼んで、バートがジョニーを呼んで、という具合に次々呼ばれる形です。
WS:バートの出番が早いですね。
M:UKフォークと云えばバート以上に著名で素晴らしいプレイヤーは居ません。でも、彼はサッサと出てサッサと帰り、アンコールにも姿が見えませんでした。帰ってもう寝るのだと思います。彼が出てくる時はお客さんもすぐにわかります。なぜなら、彼はいつもジェラルミン・ケース一個に全てを入れて持ち運んでいるので、あれが出てくると皆、”バートだ、バートだ”と口々に云っていました。そして、終わるとまた元通りにキッチリと中身を納めてケースを引いていくのです。
WS:バートらしいですね。今回はローレン(バートの若い嫁)はいなかったのですね。さて、ベス・オートンと一緒に映っている写真がありますが。
M:彼女は多分、急に決まったのではないでしょうか。バートの隣に座り、感激と緊張で”どうしよう、どうしよう”と何回もやり直していました。その横でバートは若い彼女にニコニコと微笑んでいました。とても良い演奏でしたよ。
WS:次にジョニーが呼ばれたのですね。バートの目がらんらんとしています。ジョニーはいつものように緊張していましたか?
M:さすがに以前のような緊張は観られませんでしたが、ほどよい緊張感には満ちていましたよ。ジョニーとバートは、バートの”Pretty Polly”を演奏したのですけど・・・
WS:ふたりの息は合っていましたか?
M:ジョニーはあの残酷な曲プリティ・ポリーでとてもエクスタシー面でした。正直少し怖かったです。恍惚としていて、ユラユラ揺れちゃってました。けれども演奏は鬼気迫る素晴らしいものでした。ふたりのフィンガリング、というかアルペジオなどの指の動きはまさに芸術で見とれてしまいました。本当に美しいとしか云えません。

M:”今考えると、ジョニーはこのフォーク・コネクションに出演して
キャリア的にも凄く良かったんじゃあないか、と思うんですよ。
これからこういったフォーク演奏者としての若手代表にも
なり得るし、ニール・フィン等の交友関係も広いでしょう。
ギターのテクニックだってバートに全然引けをとらない。
共演者のロイ・ハーパーやロビン・ヒッチコック、パティやレニー・
ケイなどからとても好意的に迎えられた様子でしたよ。”

WS:それを伺って安心しました。ジョニーは始終仏頂面だったと、ミユキさんからいただいた現地からの電話で不安に思っていたのです。
M:ジョニーは、演奏に入ると途端に余裕がなくなってしまうんでしょうね。いつも一生懸命。だから皆に好意的に思われるのかも知れないけど、やっぱり演奏していない時くらいは笑顔が欲しいですね。彼に足りないのはスマイルかな(笑)。つまんなそうな顔はマイナスだと思いますね。たとえそうじゃないにしても。
WS:演奏にのめりこんでしまうタイプなんですよね。オフ・ステージの彼とは一線を画すという意味で、私は特に(ステージ上での)ジョニーに愛想は求めないんですが。
M:まあ不器用なんですよね。でもね、折角和気藹々のステージなのに彼だけ仏頂面なんですよ。ジョンジーとかアロハ着てニコニコしているのに(笑)。バートでさえたまには笑みがこぼれるでしょ。ステージでずっと仏頂面っていうのは、お客さんもどうしていいか困るものですよ。
WS:そうですね・・・お客さんとの相互作用もライブ・コンサートには欠かせないマジックのひとつですからね。

WS:さて、次はいよいよジョニー・マー&ヒーラーズなわけですが。ニュー・ヒーラーズはいかがでしたか?
M:地味。演奏も地味。ドラマーは悪魔憑きみたいなPossessedな表情だし、ベースのイワンはジーパンにパスを貼っていました。こうでもしないと多分出演者には見えないのでしょうね。同じくヘイブンのナットがローディとしてかいがいしく働いていてビックリしました。ヒーラーズのセッティング中にファンに見つかり声を掛けられていましたよ。”ナットじゃないか!何してんの??””ウフフ、ジョニーが来てるんだよ”という会話をしていました。あと、オアシスの曲・・・リブ・フォレバーかな?いや、違うな・・・思い出せないけど叫んでる人が居ました。・・・オアシスと勘違いしたのかしら。
WS:ジョニーの人生、至るところにヘイブン、そしてオアシスあり、ですな・・・。新曲は伺った所によると、インストだけですか?
M:はい。そうですね。でもこのインストがもう長いにも程が在るだろうっていうくらいに長かったのです!もうずっとずっとずっと同じフレーズの繰り返し!この間に2-3曲演れるでしょうっていう(笑)。悪くは無いけれど、もっとジョニーのホニョホニョってやつとか、彼独特なヒネリ・・・フニュっていう・・・そういうのを加えても良かったんじゃないかしら。これだとまるで・・・フージョン?トランス・フュージョンのようです。
WS:(笑)。後で聴かせていただきますね。次はマンキュニアン・フォークですが(笑)。黒いテレキャスを使用しています。
M:その時は全然気付かなかったんですよね・・・スミスの曲だったなんて。普通に新曲だと思って、”ああマンキュニアン・フォークかあ、なんて素晴らしい曲なんだろう”と(笑)。
WS:当然ご存知の曲だったんですよね。
M:勿論!でも家に帰って、しばらくしてから思い出したのです(笑)。”Please, Please, Please, Let Me Get What I Want"って事を。
WS:ある意味、とても純粋に楽曲を聴かれたことになりますね。単純に”良い新曲”だなあ、と。
M:はい、そうです。かなりニュートラルな気持ちで(笑)。ジョニーもこんなに素敵なフォークを書くようになったんだなあ、と(笑)。
WS:私たちはともに”スミス”と”ジョニー”の関係性になんら偏った思い入れがありませんし。
M:はい。それよりもロイ・ハーパーロビン・ヒッチコックと歌ってるジョニーを見る方が何百万倍もオイシイと。それにあの場でスミスの曲を演奏した所で、客層が客層ですから、やはり皆さんも”ジョニー・マーというプレイヤーの曲”という風にしか受け取らないと思いますね。ジョニーも自然に演奏できたはずですよ。

”M:曲の前に、お客さんのひとりが、”Go!Johnny, Go!”
って 叫んだんです。そしたらジョニーは”Go Yourself”って
返したんですよ(笑)!”

WS:(爆笑)”オマエが行けよ”みたいな(笑笑)!いや、もっとジョニーっぽく云うと、”キミだけ行ったら?”みたいな(笑)。
M:そう(笑)!これってそのまま取るとかなり辛らつですよ!会場も爆笑したわけじゃなかったし。ギャグとも取れないような・・・。怖くて私は彼に掛け声すら掛けられなかったです・・・ああ、私が云われたんじゃなくて良かった、って(笑)!
WS:”聴かないんなら出てっていいよ”、みたいな(一昨年のバッファロー・ギグの五月蝿いお客への発言)。
M:(爆笑)もう少し余裕が欲しいですよね(笑)。このままだと、ギターは凄くうまいけど、たまに暴言吐くへんな人だと思われちゃう。
WS:・・・あとこのズボンも問題じゃないですか・・・
M:いかにもイギリス人中年が履くだぶだぶジーパンですよね(笑)。これ観て下さい!
WS:毎度お馴染みのポーズに・・・ベルトしていますね・・・。腰履きして胴が長くみえるのだろうと思ったら、ミッシリ詰まってたんですね。
M:彼はお尻も女子みたいに大きいんですよ(笑)。以前、上りのエスカレーターで彼の後ろになった事があるんですけど。
WS:このお写真は皆がジョニーの尻を見ているのでしょうか。
M:変ですよね。ロイ・ハーパーもSFAの人もみんな乗り出して彼の後ろを観ています。彼の尻に一体何が起こっていたんでしょう(笑)?

WS:(気を取り直して)次にジャクソン・C・フランクのカバー”My Name Is Carnival”ですが・・・
M:この曲が来るなんてね・・・まさに今聴いていたばかりだし(出発前にミユキさんは彼のアルバムを私に渡していた)。バートに教えてもらったって云ってましたね。バートもよくジャクソン・C・フランクについての話しをしますね。この人は不遇のうちにこの世を去ったんです。前にも話したと思うけど(と云ってまた彼の哀しい人生の話をするミユキさん。その話を何回聞いても涙ぐんでしまうマキヲ)。
WS:(ジョニーのカーニバル音源を聴き、涙ぐむマキヲ)・・・ジョニーに合ってますね、この曲は。
M:そうですね、ジャクソン・C・フランクとバート、そしてジョニーのアレンジもちゃんと加わっていて・・・声のトーンもぴったりでしょう?
WS:はい・・・ううう・・・これからヒーラーズでボブ・ディランの曲("Don't Think Twice,~)の代わりに演ってくれたらいいですね。・・・次の”Down On The Corner”で最後ですか?
M:ここでニール・フィンを呼びました。彼との共演はさすがに息がぴったりだったし、ジョニー自身もとても溌剌として張り切った感じでした。
WS:ニールとは相当数共演していますからね。(例・7Worlds Collideツアーや飛び入りなど)気心も知れてるし。
M:安心して生き生きした演奏(笑)。後でニール自身の出番にもジョニーが出演しました。(曲はこれも演り慣れた”Wheather With You”)
WS:ニールはめっちゃ笑ってますけど・・・
M:ジョニーは仏頂面(笑)。

”M:パティ(・スミス)も勿論演奏して歌ったけれど、物凄く
インテリジェントな女性ですよね。このイベント自体もとても
知的で、前衛的。保守的な部分は皆無でした。
まだまだ突っ走り続けてる老人たち、おじさんたち、というか(笑)。
ここに入ったら今時の若い子たちは霞んでしまいますね。”

M:今回のこのUS-UKフォーク・コネクションで、ジョニーはまた一段階、高みに上って成長したと思います。アンコールが終わった後、やっと最後に笑顔を見せてくれました。
WS:ジョニーの魅力も存分に発揮されていましたか?
M:出演者皆が彼を自然にフィーチュアして、良い部分がちゃんと引き出されたイベントだったと思います。ジョニーのプレイは玄人受けするいぶし銀みたいな演奏でした。ヒーラーズのセカンドはフォーキーなアコギ路線かも知れませんね!ちょっとサイケ入った感じで。
WS:いいですね。ZEPのサードみたいなの。
M:いいでしょ。
WS:総評としては、このイベント後にジョニーは演奏も歌もスピリチュアルなものも一段階高みに上がって成長し、
M:はい。
WS: 更にミユキさんも成長した、と。
M:(笑)そうそう(笑)。

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運良く、ミユキさんはキャンセル待ちで最終日の”Jimi Hendrix Experienceデー”も観ることが出来たそうですが、ここにもジョニーが出演していて嬉しい悲鳴を上げたそうです。彼はロビン・ヒッチコックとジミ・ヘンの”May This Be Love”を共演、しかもふたりの服装はフォーク・コネクションの時と全く一緒だったそうです。レッチリのフリーやジョン・フルシャンテ、ジェフ・ベックなどが各々の解釈でジミ・ヘンをカバーしまくる、というとても興味深くて面白い企画だったそうです。

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 MAKIO sends special thanks & love to MIYUKI (JUL.6/2005)