公演日程セットリスト

2009年010月19日 東京
日本武道館(w/Arctic Monkeys)

We Were Aborted 
Hey! Scenesters
I'm A Realist
Cheat On Me
We Share The Same Skies
Mirror Kissers
Men's Needs
City Of Bugs

2009年10月21日 東京
赤坂ブリッツ

We Were Aborted 
Hey! Scenesters
I'm A Realist
Emasculate Me
Girls Like Mystery
Last Years Snow
Cheat On Me 
We Share The Same Skies
We Can No Longer Cheat You
Direction
Hari Kari
Save Your Secret 
Our Bovine Public
What About Me
Another Number
Ignore The Ignorant
Be Safe
Mirror Kissers
Mens Needs
City Of Bugs


2009年10月22日 名古屋
クラブクアトロ

We Were Aborted 
Hey! Scenesters
I'm A Realist
Emasculate Me
Girls Like Mystery
Last Years Snow
Cheat On Me 
We Share The Same Skies
We Can No Longer Cheat You
Direction
Hari Kari
Save Your Secret
Our Bovine Public
What About Me
Another Number
Ignore The Ignorant
I've Tried Everything
Mirror Kissers
Mens Needs
City Of Bugs

2009年10月23日 大阪
クラブクアトロ

We Were Aborted 
Hey! Scenesters
I'm A Realist
Emasculate Me
I'm Alright Me
Cheat On Me 
We Share The Same Skies
Womens Needs
Moving Pictures
Direction
Hari Kari
Save Your Secret
Our Bovine Public
What About Me
Another Number
Ignore The Ignorant
Mirror Kissers
Mens Needs
City Of Bugs

ザ・クリブス2009年来日公演鑑賞記録

報告者及びテキスト:MAKIO

UKツアーを一旦終え、クリブスが来日公演をおこなった初日は10月19日、アークティック・モンキーズの武道館公演のサポートアクトとしてだった。ほぼ時間きっかりに始まり、きっかり30分程度で終了したコンパクトな”クリブスwithジョニー”のお披露目ライブであったが、私としては大変見どころの多い、興味深い内容となった。コーラス曲で最も勢いとキレの妙が持ち味である”Mirror Kissers”においては、この武道館公演が最も抜きんでていたと断言出来る。ラモーンズのようにマイクをシェアしたいと願ったのは他でもないジョニーであり、双子の鉄板コーラスにジョニーがいかにしてその存在を加味する事が出来るか?というのも私のライブ鑑賞ポイントであった。

さてジョニーである。ん?ブドカン、まんざら似合わなくはないじゃあないか。プレイスタイルはモデストマウスの時とさほど変わらない(演奏中はニコリともせずに仕事に没頭)のだが、驚くべきはギターを全くと云っていいほど持ち替えないのだ。白いカスタムジャギュアーがメインで、他にモデストマウスでも使用された黒の62年ジャギュアーが"Save Your Secret”で使用されるのみ。ギター以外はたぶん借り物であろうが、機材もお馴染みフェンダーツイン&スーパーリバーブを初め、シンプルなものだった。ただ、マーシャルアンプを激しく蹴りまくるシーンがあり、”ジョニーも若返ってアグレッシブな演出をするようになったものだ”と思っていたら、後で知るに、マーシャルが途中全く機能しなくなったので癇癪を起こしたとの事だった。限られた時間もあってか、演奏は非常にタイトで緊張感に満ちたものだった。全編通じて思うに、コンパクトでタイトなショウがクリブスというバンドには合っているのだ。一貫して彼らが一切アンコールをしない理由の(おそらく数ある)ひとつがジェフリー・ルイスの漫画中に語られていますので宜しかったらどうぞ。資料1(資料提供:ミユキさん)

胸毛と乳が全日本公演を通してライアンはMCをオール日本語でおこなっていた。武道館公演では、”ショウノアト タッキュー デ アークティクモンキーズ ヲ ヤッツケル”と云っていたが、実際は朝5時までカラオケに興じていたようだ。

一日インターバルをおいて単独公演は21日、東京は赤坂ブリッツでおこなわれた。前座としてモデストマウスでもオープニングアクトを務めたThe 東南西北・・・もとい、OGRE YOU ASSHOLEがジョニーにより指名されていた。モデストマウスの時は愉快な小話で会場をクスクス笑いで包んだ彼らだったが、今回のお客さんはピクリともせず相当シビアだった。また、彼らも緊張のためか余計なお喋りは全く無く、ただひたすら演奏をして帰って行った。クリブスのお客さんたちは前座を楽しむ余裕など微塵も無かったのだろう。

19日の武道館公演と比べて、幾分リラックスムードの漂う中、クリブスの演奏は始まった。ライアンは日本語で、”コニチワ”、”マイド”、”モシモシ”など連発。冒頭に”We Were Aborted”と来て、双子の掛け合いが楽しい”Hey!Scenesters”、”I'm A Realist”などが間髪入れずに演奏された。新曲が続いた後、”コノナカニ ムカシカラノ クリブスファン ハ イルク?”というライアンの問いかけで始まったのはバンド初期の曲、”We Can No Longer Cheat You”、”Direction”だった。"Be Safe”が演奏されたのは、この日だけだった。他ベニューにリー・ラナルドを映しだすプロジェクターを設置するほどのスペースが無いためであろうか。”Another Number”は彼ら随一の人気曲で、いっとう盛り上がったのではないだろうか。トラブルもあったようだが、音も悪くなかったし、セットとしても新旧織り交ぜたバランスの良い内容であった。(右サイド参照)

翌日の名古屋は東京公演が霞んでしまうほど素晴らしかった。狭い場内と全国から集まったマニアックなファンの盛り上げの賜だろう(前情報では300ほどしかチケットがはけていなかった)。ロスはよく立ち上がってましたね。バンドとお客さんたちのテンションは初っ端からボルテージマックスである。しかし、不思議なことにクリブスのステージは狂熱ではあっても決して暑苦しいものではないのだ。シンプルなステージ、過剰なサービス皆無、加えて去り際が潔いからだろうか?エンターティンメント性を最小限に抑えて演奏のみ高いテンションをキープする、というのは極めてストイックな彼らの音楽性とマッチしている。この真実を知ることだけでも、ジョニーが現在このクリブスというバンドに在る理由が朧気ながら見えてくる。

続く大阪も名古屋に負けじと良いオーディエンスに支えられてバンドは持てあますパワーと気概(これが重要よ)を惜しみなく爆発させ、場内の雰囲気は最高潮をキープした。”Cheat On Me”のジョニーのスライドも心なしか生き生きと聴こえた。兄ギャリーも頑張って良く歌っている。末っ子ロスは大丈夫かな?所々リズムがおかしいけども・・・(まあそんな事は問題じゃないです)。”ドーモアリガト”。どういたしまして!こちらこそ!”アンコール ハ ヤラネーヨ”。わかってるって!!クリブスにカーテンコールは似合わない。

”City Of Bugs”は新生クリブスを最も象徴する曲だと思う。ジョニーを迎えるバンドはそれぞれにある程度のドラマティックな変化を求めているわけで、クリブスだとてその例外ではなかったろう。一方のジョニーは、”キミたちを劇的にボク好みに変えてあげる”という気持ちはこれぽちも無かったりするのだが(ジョニーはもともとのクリブスサウンドを気に入っていた)、双方の理想が奇跡的に実を結んだ入魂の1曲であると云えよう。その曲はまさに、全ての公演でオーラスを飾るに相応しいものである。

また、大阪ではライアンのクラウドサーフィンのおまけがあった。前方に居た友人らは否応なしに彼を支えるはめになったようで、望みもしないのに彼の体臭や靴下の匂いを密着して嗅ぐという幸運(不幸)に見舞われたようだ(上着を脱いでは着て帰ります。友人らファンなどが必死でライアンをステージに帰そうとしたが、なかなか戻らないのでふと観ると、これまた必死なファンが彼の足にしがみついて離そうとしなかったという話を聞いて不気味なファンが居るものだと思いました)。全てのショウが終わると、会場内はすぐさまライトが着き、ベルベッツの”After Hours”が流れた。お客さんたちはそれぞれ思い思いにアフターアワーズを口ずさみ(或いは鼻ずさみ)ながら素敵な余韻を残した会場を後にしたものだった。正味平均70分。アンコールは先に述べたように一切なし。韓国でのフェスを翌日に控えた彼らは早朝未明にホテルをチェックアウト、日本を旅だったそうです。

ここから先は私MAKIOの個人的見解ですので、不要な方は読み飛ばして下さい。ジョニーはクリブスとともにショウをおこなうようになって、”これは審判の日なんかじゃないんだ”と云っていた。勿論私もそんなつもりは無いし、ステージへあがった彼らをウージーで打ちまくろうなんて気持ちは毛頭無い。ただひとりのファンとして、ジョニーが何故クリブスというお世辞にもうまくない、全てにおいて未熟なれんじゅうと創作活動をおこなおうと思ったのか、全容は理解出来ずとも自分なりに納得したかっただけなのだ。そしてその疑念は、ジョニー参加のニューアルバムを聴いても払拭されず、それどころか謎は益々増大する一方だった。(自身で確かめるしかあるまい。)この一年でジョニーの生音に飢えていたこともあり、私はせめて来日公演の全行程だけは見届けようと決めた。特に高揚感もワクワクもなく(どちらかというと少々億劫な気持ちで)、私は武道館の日を迎えたのだが、そこで初めて私は世にも希少な存在を目の当たりにしたのだ。筆舌に尽くしがたいが、とにかくそれは誰にもなににも似ていない、ただひとつの存在感だった。音楽の精の粋のみの、ひとかたまりだった。(参ったな。)思わず唸ってしまった。メインのアークティク・モンキーズを観て、それは確信に変わった。これがジョニーの欲しかったものか、確かにこれはそうそう手に入らないぞ。そこにあるのは、虚飾や欺瞞、先人の作り上げたもの、全ての汚いものを取り去ったむきだしの、裸の音である。私は、まるで図鑑にも載っていない美しい雑草を発見したような気持ちになっていた。

兄弟バンドにあって、ジョニーは違和感無く世にも稀な小さく美しい雑草の一茎としてストイックに且つ楽しげに仕事をしている。それはまごう無き事実である。(浮いているとしたら、ただその突出した技術面だけで・・・)兄弟もジョニーも、お互いによってしか得られないものを得、更なる高みを目指すことが出来るならば、それ以上に宜しきことはないわけで、私は今後彼らが共に作り上げるであろう作品を有り難く拝聴させていただくのみである。(兄の絵が出来ていませんすいません)

NOV.1st, 2009 MAKIO


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