ライブ1Johnny Marr + The Healers Live In Japan 2003

Mar.1st / Shinjuku Liquid Room/ Tokyo
Mar.3rd / Shinsaibashi Club Quattro / Osaka
Mar.4th / Nagoya Club Quattro / Nagoya

ジョニー・マーとその新たな仲間たちが日本にやってきました。アルバム契約までの道程はとても厳しいものでしたが、日本盤(CCCDではありますが)がリリースされてから来日が決まるまではとんとん拍子で、あっという間にこの日を迎えてしまった気がします。ジョニーの来日はFUJIROCKから3年ぶり、そしてThe Theからは13年ぶりです。実際には、The The以来という方の方が多いと思います(わたくしはベリー・ファースト・ジョニーです)

まずは初日、東京は雨模様ですがお客さんの入りも上々。私の位置はやや左寄り、二列目ほどの好ポジションです。開演前にはイギー・ポップやT-REX等がかかっており、ニヤリとさせられました。定刻を10分程過ぎて、ようやくヒーラーズの面々は現れました。一応、各人の衣裳を描写致しますと、ジョニーは青い花柄シャツの上に黒のスエード調のシャツ、ボトムもお揃いのスエードズボンです。相変わらずぺったんこでスリッパみたいなクツを履いており、爪には銀のマニキュアです。アロンザは白いシャツで清潔感溢れるいでたち、ザックはと云いますと、これが3日間ともなんですがドドメ色のサテンシャツでした。サポートメンバーのジェイムズ・ドヴィアックも同様に連日ペイズリーの柄シャツ着用でした。

1曲目はこれまでのツアーのセオリー通り”Long Gone”です。やや緩慢で淡々としたプレイを聴かせていましたが、私は少なくともこの曲の間中は全く記憶がトンでおり、”あれは、ジョニーだな・・。”という意識のみ。2曲目の”Caught Up”でようやく周りのノイズが聴こえるように全感覚が回復しました。この曲はアルバム同様に浮遊するヴォーカルラインが印象的でした。しかし、やはり緩慢な演奏です。3曲目は”Here It Comes”ですが、ようやくここでジョニーのMCが入ります。”アリガトー、コンバンワ”。鼻にかかっていて面白い声も相まって、かなり異常な挨拶です。お客さんも何やら”クスクス・・”という感じ。彼は今回、日本語を良く喋ってくれたのですが、逐一足元のカンペを確認していました。終盤の盛り上がりもそのままに、またジョニーのお喋りが入ります。後方に座ってなにやら抜かす外国の方を立つように促し、”キテクレテアリガトー。ニホンニコレテ、ウレシイ”。これですよ。呆気に取られる私たちを捨て置き、さっさと始まった曲は”Down On The Corner”です。美しいリッケンバッカー・サウンドに皆、息を呑みます。この曲はスミスファンにも受けがよく、そしてかなり浸透しているように思います。シンプルでジャングリーなリズムは、やはり共通するものがあるかも知れません。ドヴィアックも楽しげ、且つ忙しそうにギターやキーボードを弾いています。

”アリガトー”の後、ライブのハイライトである新曲をお披露目です。タイトルは”All Out Attack”。これがあまりにも素晴らしく、私は咄嗟に”これだ!”と思いっきり頷いてしまいました。これまでのツアーでの成長を窺わせる伸びやかなヴォーカル、表現力、匂わんばかりの切ないムード・・・。いつからジョニーはこんなに歌で色々なものを表現出来るようになったのやら、私は感激して瞬きもせずじまいでした。ジョニーはまだまだ泉だ。ほとばしる魂の泉なのだ、と猛烈に感動したのです。新曲での高揚した気持ちに畳み掛けるように始まった曲は、”アルバム中でも気に入ってる曲だ”というジョニーのお気に入り、”You Are The Magic”です。このへんからジョニーは調子に乗ってき、珍妙な踊りやステップを踏み鳴らすようになりました。両手を大きく広げ、魂の開放を促すかのような儀式的ポーズ。全くもって骨の髄まで酔いしれ、ユラユラとたゆたってしまいました。

2番目のクライマックスは間違いなく次の曲、”InBetweens”でしょう。レスポールにスライド・バーでのプレイです。こんな美しいブルーズ・プレイをかつて聴いた事がありません。まさにジョニーならではと申して宜しいでしょう。この曲は他メンバーのプレイの素晴らしさが如実に現れており、アロンザのベースもエフェクトをかけられブリブリとグルーヴィーな重低音を発し、ザックのプリミティブでダイナミックなプレイも”ヒーラーズはジョニーだけじゃあ無いぜ”的な意地と、聴かせる/魅せる実力を遺憾なく発揮しているように思いました。その素晴らしさは、アルバムの何万倍も上を行く出来の良さでした。(関係無いのですが、アロンザのファルセット・コーラスは何故かパイソンズのペパーポットを思わせられました。)

次の曲は、先にジョニーがUNCUT誌のボブ・ディラン・トリビュート盤でカバーしていた曲、”Don't Think Twice, It's Alright(くよくよするなよ)”です。アロンザがちんまりとキーボードの位置につき、ジョニーの支度が整うのを待っています。主に2人の演奏でヒソヤカに、しんみりと進行するこの曲ですが、ザックの、やはりヒソヤカなプレイも聴き逃すことはまかりならんでしょう。ひたすらシンバルを叩く、というよりデリケートに”こすって”いるという感じ。これがまた曲に美しいアクセントを加えているのです。一方のジョニーはもう、ひたすら恍惚としてイッてしまっている様子です。こちらも同じ顔になってみたりなど。次の曲は先行シングルの”The Last Ride”です。エフェクトレスなヴォーカルもさっぱりしていて、ジョニーのリアルな声、更にはアロンザのペパーポットヴォイスを十二分に堪能できました。

続く”Need It”で、”最後の曲だが”というジョニー。アンコールがあると知りながらも目の前が真っ暗になる程の眩暈と哀しみを感じたものですが、この曲のアグレッションとジョニーのすっとんきょうなアクション多数のお陰で、異常興奮状態に陥りました。ハモニカを取り出す仕種は、まるで”そら出たぞ!これが何だか解るだろ?”みたいな得意げパフォーマンスでした(ただのハモニカぢゃあないか)。この曲でようやくメンバー紹介がなされます。バンド、お客さんも最高潮に盛り上がる瞬間です。アロンザ、ドヴィアック、そして最後にザックですが、彼の時はさすがに声援が大きかったです。当の本人は”ジョニーを見つめる”のに多忙であり、リアクションはまるで無し。一生懸命でした。私はそんなザックをとても好もしく思います。どうノッていいか解らないお客さんたちに、ジョニーはフラメンコダンサーのように手を耳の両側でパンパン叩きます。珍アクション炸裂です。やばい!ジョニーが笑いものになってしまう!との私の懸念も虚しく、お客さん達は別段笑うでもなかったように見えました。各曲にそれぞれアルバムでは聴かれないインプロヴィゼーションがあるのですが”Need It”は、まさにそれを思う存分堪能出来る曲です。メンバー間の息もピッタリで、やはりここでのザックの働きが素晴らしい。ジョニー(正確にはギターのネックでしょう)を凝視しっぱなしでその演奏に答えます。ひとしきり終えると、ジョニーは”オヤスミ!”と日本語一発と、いまだ興奮覚めやらないお客さん達を残して去っていきました。

アンコールは5分後くらいだったでしょうか。曲は”Something To Shout About”です。私はこの曲における終盤の長いソロが一番好きなのですが、それはもう、いつまでも聴いていたい程に流麗で美しく、且つ、力強く脈打つような生命の鼓動を感じずにはいられません。アロンザはペパーポット以外にもこの曲ではピアニカ風リコーダー(正式名称存じません)にて、おぼつかない手元でピーヒョロリピーヒョロリ吹いておりました。正真正銘最後の曲は、かの”Bangin'On”でした。”かの”と私が云っているのは、この曲こそ現在のヒーラーズを象徴しているように思えるからです。トリップ感のあるオープニングから、痺れるような感覚のメロディの運び具合。これこそジョニーの出したかった空気感というか、ムードなのじゃないか、と勝手に納得してしまっているためです。実に不思議な感覚であり、これこそすなわち、事ある毎にジョニーが口にする”ヴードゥー・ヴァイブ”なのではあるまいか。私にとって”Bangin'On”は、ヒーラーズ(まあジョニーですが)の向かうべき方向性を朧げながらも指し示しているように思えてならないのです。新しい彼の音楽は、まだ輪郭を形作っている真っ最中なのです。

さて、上記のように東京公演の様子を書き記してみましたが、演目は各地全く同じ、そしてベーシックなライブ構成等、大阪/名古屋ともに大差はありませんので、特筆すべき点だけをまとめて描写して参ります。東京のライブ前半は、後の情報によりどうやら睡魔に襲われていたらしいジョニーでしたが、移動日一日挟んだ大阪ではご機嫌もすこぶる麗しく、かなり調子に乗って日本語を喋っては間違えておりました。”ツギノキョクハ”って、結構難しいですよね。”ツギノクキ・・・ハ”になってしまい、爆笑されていました。大阪のお客さんはコミュニケーション上手で、”ザック、かっこいい!”などと叫ぶ女子に対して”ザックが何だって?”とジョニー。お客さんは”歌って!”と云っていたようですがジョニーはザックと顔を見合わせては”歌えだってよ、ケケケ”という感じでした。他に”ゲンキ?”という単語を覚えたらしく、ここではそれを楽しそうに連発。ザックのカウントで始まる”All Out Attack”の後、天下の宝刀リッケンバッカーを準備するジョニー。名を呼ばれて”グッナイ!”と茶目っ気たっぷりです。大阪ではアロンザのファンも大健闘で、呼ばれる度にニッコリしながらピョコピョコ反応する彼も本当に愛らしかったです。演奏もこなれて来てメンバーもリラックスしているのがよく解りました。更に、”くよくよするなよ”の前に”Back To The Old House”のフレーズを奏でる瞬間も。これは東京では無かった事であり、名古屋でも”気のせいだ”で済んでしまう程度のものでした。誰しもが心の奥底に留めておきたいと思う出来事でした。。大阪はそのようにリラックスしてご機嫌なライブでしたが、翌日の名古屋は一転して鬼気迫る迫力のライブでした。小細工無しの真剣勝負!という緊張感が伝わってき、演奏面ではそのアグレッションがボルテージマックスに達したかのような白熱プレイでした。どうやらPAシステムに異常をきたしていたようで、ジョニーもその事をしきりに気にしていたようですが、どの曲もソロやアドリブが異常に長かったです。これはバンドが乗り切っている証拠であり、ジョニーの発声、表現力、緩慢だったバンドのプレイ等初日東京とは比べ物になりません。こういう事がありますと、やはり地方は行くものだなあ、と改めて思います。(お客さんの数は、そのライブのクオリティに反比例して激減)

ちなみにこれはフライヤーです。おまけコーナーへはこちらからどうぞ。  makio/Mar.10/2003

********** Japan Tour Set List & Guitars *************
Long Gone (Gibson SG '63)
Caught Up (SG)
Here It Comes (SG)
Down On The Corner (Rickenbacker Custom 360/12)
All Out Attack (SG)
You Are The Magic (Rickenbacker)
InBetweens (Gibson Les Paul Gold Top '57 / Slide Play)
Don't Think Twice, It's Alright (Rickenbacker)
The Last Ride (SG)
Need It (SG)
------- Encore -------
Something To Shout About (Rickenbacker)
Bangin'On (SG / Slide Play)

********** Equipments **********
Above Guitars with ORANGE, Fender Twin Reverb(Johnny),
Gibson ES-335 with VOX(James),

Fender Jazz Bass with Ampeg(Alonza),
dwdrums,Zildjian Synbals(Zak)

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